俺から逃げられると思うなよ
「オムライスが嫌だったら、食べたいものリクエストしてよ!」



何も言わない涼に腹が立ってくる私。



「神崎くん、おろして?」



素直に私をおろしてくれる神崎くん。


うん。

もう、歩ける。


神崎くんにお礼を言ってから、私は涼に詰め寄る。



「なにを食べたか分からないけど! 今日の晩ご飯、一緒に食べてよね!?」

「……押し付けかよ」



押し付けだよ。

押し付けだっていいじゃん。

みんなで食べたかったんだから。

同じものを4人で食べたかったんだから。

そのために、涼を探していたんだから。


やば。

また、涙が出てきそう。


怖かったことを思い出したわけじゃなくて。


一緒にご飯を楽しく食べたかったのに。

と、なぜか悔しくなる。


涙が零れ落ちる前に、目を腕でこする。



「泣いてるのか?」

「べつにっ。泣いていないもん!」



一緒に笑っていたかっただけなのに。
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