俺から逃げられると思うなよ
「か、神崎くん! 涼に会えたから良かったじゃん!」



慌てて口を挟む私に、ため息をつく神崎くん。


「今回は、茜に免じて許すけど」

「……」

「もう、勝手にどこか行くなよ」



神崎くんは先ほどより少し穏やかで。

その言葉は、本当に私と涼のことを思ってくれているんだな、って感じることが出来た。



「……分かった」



神崎くんの気持ちは、涼にもちゃんと伝わっている。



「穂村」

「ん?」

「ごめんな」



私は自然と笑みがこぼれた。


もう、誰も怒ってないし、誰も責めていないよ。

だから、謝らなくていいよ。



「家帰ったら、みんなでご飯食べよ!」



涼に笑顔を向ける。



「ああ」



頷いてくれた涼に、私は嬉しくなる。


再びきれいな笑顔を見せてくれる涼。

それが、とても嬉しくて。
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