俺から逃げられると思うなよ
目を開けると、最初に目に映ったのは白い天井だった。


……天井?

私……。

そっか。

屋上で倒れたのか。


ここは保健室……?


ゆっくりと体を起こす。


うん、もう頭は痛くない。


ふと、ベッドの端に目を向ける。

ベッドに突っ伏した状態で寝ている、金髪頭。



「涼……?」



思わず、涼の名前を口にする。

このきれいな金髪の頭は涼しかいない。



「ん……」



もぞもぞと起き上がる涼。



「俺、寝てたのか」

「涼が運んできてくれたの?」

「おう」



そっか。

涼が……。



「ありがとう」



私がお礼を言うと、涼は少し驚いたような表情をする。

だけど、すぐにまた笑って。



「もう、痛くないか?」



私の頭を撫でてくれる。

涼の大きな手が私の頭に触れ、気持ちいい。

優しく撫でてくれるから、思わずドキドキしてしまったけど。

それは内緒。
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