俺から逃げられると思うなよ
「穂村さん!」



ひとりの男の子が、私にテスト用紙を見せてくれた。



「俺、11点なんだけど! なんとか再テスト受かりたい!」



再テストは50点以上だよね……?



「私は9点だったの! 夏休み遊びたいから、勉強教えてください!」



……40点以上、点数を上げたいってことだよね。

先生でもない私が、勉強なんか教えられるかな?


だけど、必死に訴えてくるクラスメイトに私は耐えられず。



「……放課後。教室で勉強する?」

「します!」



声が揃ったクラスメイト。


頼ってもらえて嬉しいけど、私なんかで勉強を教えられるでしょうか。


嬉しさと不安が混ざった感情のまま、放課後を迎えた。
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