俺から逃げられると思うなよ

テスト対策をつくりました。

「面倒なもの引き受けたねぇ」



晩ご飯もお風呂も終わり、あとは寝るだけなんだけど。

今日は自室の勉強机に向かってテスト対策を作っている。

そんな私の隣で、にこにこと話しかけてくるのは千秋くんだった。



「お人好しっていうかぁ」



誰もが分かりやすいように、丁寧にルーズリーフにまとめている。

今はまだ1人分のテスト対策のまとめも作れてないけど。


それは。



「茜ちゃんもバカだねぇ」



ずっと話しかけてくる千秋くんのせいだと思う。

集中ができない。



「千秋くん……」

「ん?」

「ちょっと静かにしてもらえる?」



ルーズリーフに走らせていたペンを止めて、千秋くんを見る。



「茜ちゃんがかまってくれないんだもん」



かわいく言われても、今の私には効かないぞ。

それに。



「なんで私の部屋にいるの」



ルームシェアを始めたとき千秋くん言っていたよね?

『僕の部屋には入ってこないで』とか、なんとか。

それなのになぜ私の部屋にいるの。


プライベートもなにもない。
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