俺から逃げられると思うなよ
「もしかして茜ちゃん、僕が言ったこと気にしてるー?」



その通りですけど。

だから早く出て行ってくださいな。


集中もできないし、テスト対策もまとめられていないし。

おかげで寝る時間もどんどん遅くなるんですけど。


って、千秋くんを睨んだって仕方ないか。

引き受けたのは私だし。


はあ、と、ため息をついてから千秋くんに尋ねる。



「放課後、うちの教室来てたけど、千秋くんはテストどうだったの?」



話を振っただけなのに、千秋くんはぱぁぁ、と顔を輝かせる。



「僕ね! テストの点数、茜ちゃんに自慢したかったの!」



よく聞いてくれました、といわんばかりだ。



「何点だった?」

「77点だよっ!」



嬉しそうに、しかも誇らしげに答えてくれる千秋くん。


思わず私は咳き込んでしまった。

コーヒーを飲んだ瞬間に、自慢しないで。

吹きこぼしたくないから。
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