俺から逃げられると思うなよ
「こんなちんちくりん、置いて帰れよ」

「やだ」

「やだ、じゃねぇよ」

「いやだ」

「そういう話はしてねえよ」



なんなのこれ。

私は、なんで2人の漫才を見ているんだろう。



「……神崎くん。手、離して」

「やだ」



わがままかっ!



「そろそろ、電車の時間あるから。……ね?」



神崎くんは、ガタッと席を立ち上がる。

その手に引っ張られるように、私も席を立つ。

そして、教室を出て行こうとする神崎くんは、私の腕を離そうとしない。


そんな私たちについてくるヤンキーくん。

意味分からないんですけど!


下駄箱前で、足を止める神崎くん。

と、言っても、靴を履き替えるためで。

靴を履き替えたら、また、私を引っ張って歩き出す。

まだ、靴履けてないんですけど!?


中途半端に履いた靴は、言うことを聞いてくれない。
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