俺から逃げられると思うなよ
本気で寝られる前に、頭を撫でるのをやめよう。

そう思って、撫でる手を止める。



「えーっ、もっと撫でて!」



リクエストが来た。

そう言う千秋くんは、高校生に見えないよ。

小学校低学年生みたいな感じがする。


仕方ないから、カーペットの上に気持ちよさそうに座りだした千秋くんの頭を撫でていると。

だんだんと姿勢が崩れてくる。


……これって。

もしかして。



「すーすー」



やっぱり、このまま寝ちゃうパターンですね。

千秋くんは、カーペットの上にごろんと、転がった。

かわいい寝息を立てて。


これ、私じゃなかったら本当に襲われそう。

千秋くんがあどけなく見えて、私は思わず微笑んだ。


黙っていればかわいいのに。


私は自分のベッドから毛布を持ってきて、千秋くんにかける。

気持ちよさそうに、その毛布を抱きしめる千秋くん。



「おやすみ」



寝ている千秋くんに声をかけてから、私は再び勉強机へ向かう。


テスト対策作っていくぞ!


気合いを入れなおし、私はルーズリーフにペンを走らせる。
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