俺から逃げられると思うなよ
気がつけば、朝5時だった。

いつもの起床時間と変わらなかった。

結局一睡もせず、10人分のテスト対策を作り上げてしまった。


うーん、と伸びをする私。

そんな私の隣で気持ちよさそうに寝ている千秋くん。

千秋くんは寝たまま、起きることなく朝を迎えていた。


寝顔を見て微笑んでから、勉強机に向かう。

テスト対策は出来たから、メッセージを書くだけ。

これにはそんなに時間はかからないけど、私なりの思いを込めて。

ひとりひとりにメッセージを書く。


そして、最終仕上げ。

私は机の引き出しから、ラッピング用の細いリボンを取り出して、ルーズリーフの穴にリボンを通す。

ピンク色のリボンだから、少しかわいくなってしまったけれど、テスト対策の冊子が完成した。

それなりに出来栄えもいいんじゃないかな?


私は作り上げたテスト対策の冊子を大きめサイズの茶封筒に入れて、鞄にしまう。

これで、学校に持っていって渡すだけ。


喜んでくれるといいなぁ。

……喜んでくれるよね。
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