俺から逃げられると思うなよ
「わっ!?」



靴紐を踏んづけたのか、転びそうになる私。

このままじゃ、地面と顔がぶつかってしまう……!


ぎゅっ、と目をつぶる。

だけど、いつまで経っても衝撃はこなくて。

そっと目を開けると、ヤンキーくんが私を支えてくれていた。



「え。ありがとう……?」



転ぶことを免れた私は、ヤンキーくんにお礼を言う。



「バカっ! 靴くらいしっかり履け!」



……なぜか怒られた。

これも全部、神崎くんのせいだ。


それなのに神崎くんは。



「涼……。茜から離れて」



あのね、神崎くん。

ヤンキーくんが支えてくれなかったら、私、地面にダイブしていたからね?



「言われなくても離れるわっ!」



突き飛ばすよう、私から離れるヤンキーくん。

さっきから、私の扱い雑だよね?



「こんなちんちくりん、その辺のゴミ箱に捨てて帰れよ!」



さすがに、その言葉はないんじゃない?

“ちんちくりん”はぎりぎり許せるけど、ゴミ箱に捨てるって。



……ありえない。
< 14 / 276 >

この作品をシェア

pagetop