俺から逃げられると思うなよ
千秋くんが“さや”と呼んでいた美少女が駆け寄ってくる。



「涼くん、久しぶりだね!」

「……ああ」



明るい笑顔を振りまく美少女と、急に不機嫌になった涼。


2人はどういう関係なの?

千秋くんも絡んでいるのかな?


もやもやとした感情が広がる。


涼にスキンシップをしている美少女を見る。

ピンク色のワンピースに、きれいに結ってある髪の毛。

細い足に似合うヒール。

メイクも薄くされていて、彼女が持っている美しさが引き立つ。

制服姿の彼女もかわいいけど、私服姿も可愛い。

さすが美少女。



「今日は買い物?」



美少女は私に目もくれず涼に話しかけている。

涼は相変わらず、そっけない返事を続けている。

ようやく諦めたのか、美少女は私に目を向ける。



「あっ、この前、会ったよね?」

「はい」



今更ですか。

散々私の存在を無視していたのに。

まあ、前の学校の人とは関わりたくないので、無視されていてもよかったんだけど。
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