俺から逃げられると思うなよ
私はさりげなく朝比奈さんから手を離す。

そのまま水着コーナーへと向かう。


朝比奈さんの前で水着なんて選べない。

涼に見られるより嫌だ。

……朝比奈さんは何も悪くないんだけど。

“西高の生徒”っていうだけで拒否反応が起こる。

私も弱くなったなぁ。



「穂村さん! この水着とかどう?」

「あー、はい」



朝比奈さんが手に取ったのは、露出度が多い水着。

フリルやレースが施されていない、シンプルな形のビキニ。

色は淡いパステルカラー。

黄色と水色、ピンク色がある。


……この中から選べと?



「かなり肌見せる水着なんだね」

「穂村さんに似合うと思うんだけどなぁ」



押し付けられた水着を持って、私は試着室へと向かう。
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