俺から逃げられると思うなよ
家に帰ると、出迎えてくれた千秋くん。

続いて神崎くんも出てくれる。



「おかえりっ」

「……おかえり」

「おう」

「ただいまーっ」



この会話が日常だと思うと嬉しい。

リビングに入ると、既に明日の準備がされていた。

と、言っても神崎くんと千秋くんのバッグがひとつずつ。

きっと、自分たちの分の用意だけ終わらしたのだろう。


……まぁ、海へ行く準備といっても、電車で行くから身軽な格好で行かないといけないからね。

私と涼も準備を始める。



「浮き輪だーっ」



千秋くんが涼から受け取った浮き輪を見てはしゃいでいる。



「茜ちゃん! 一緒に浮き輪使おうね!」



そんな笑顔さえ今は微笑ましく感じる。
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