俺から逃げられると思うなよ
「茜ちゃんも海行くよーっ」



私は千秋くんに手を引っ張られる。

だけど、一瞬で立ち止まって、千秋くんは私の手を離す。



「パーカー脱がないと、海は入れないね」

「っ!」



思わず自分を抱きしめるように、パーカーを握る。

今の千秋くんなら私のパーカーを剥ぎ取ってしまいそうな勢いだもの。



「あっ! もしかして水着姿、見られるのが恥ずかしいとか?」



図星だ。

顔に熱が集まるのが分かる。


そんな私の気持ちは全員察したようで。



「見てみたーいっ」

「脱ごう」

「お前の貧相な体なんて、誰も見ねぇよ」



……涼。

さすがにその言葉はぐさりときたよ。


だけど、言われてみれば、このイケメン集団にしたら私のスタイルなんてどうでもいいだろう。

むしろ見て損するのは彼らだ。

私は何も悪くない!

それで私が何か言われるのなら、パーカーを脱げといった彼らが悪い!
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