俺から逃げられると思うなよ
「そ、そんなに似合わない?」



私が聞くと、3人はピタリと動きを止める。

そして再び集まる視線。



「似合わないっていうか……」

「なんつーか」

「危険」



き、危険ってなに!?

そんなに私の水着姿は人様の目に害を与えますかね!?


私はだんだんイライラしてきてしまって、パーカーを神崎くんから奪い鞄に突っ込んだ。

そして、千秋くんに押し付けられていた浮き輪を奪い取り、熱いビーチの上を駆け出していった。


私の向かった先は海。

浮き輪に入り、海へ飛び込む。


なんなんだ、あいつらは。

せめて笑ってくれたほうが良かったよ。

似合わないって言ってくれたほうが、私も冗談で笑えたのに。

あんな真顔で言われてしまったら、さすがに傷つく。


ぷかぷかと、寂しく浮いていると。

浮き輪の重心が揺れた。
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