俺から逃げられると思うなよ
「見た目で近寄ってくる女が嫌いだ」



まあ。

ヤンキーくんも、よく見たら“イケメン”と呼ばれる部類に入るのだろう。

チャラチャラしていて、私から見たら怖いけど。


顔も整っているし、髪型もきれいにセットされている。

神崎くんとタイプは違うけれど、同じくらいイケメンかもしれない。

認めたくないけど。



「……ごめん」

「え?」



突然、謝る私に目を見開くヤンキーくん。

そりゃそうだよね。

私も自分の言葉に驚いている。



「さっきは、感情任せに怒ってごめん」



驚いたまま固まっているヤンキーくんに言葉を続ける。



「あんたのこと、見た目だけで判断して怖いって思ってた。だからごめん」



ヤンキーくんが思う“見た目で近寄ってくる女”とは、違うかもしれないけど。

私も“見た目”で“怖い”と決め付けてしまった。


人間は中身が大事なのに。

うつむいている私の頭に、大きな手がぽんっと乗る。



「……俺も、悪かったよ。……穂村」
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