俺から逃げられると思うなよ
「ダーリン、早く行こっ!?」



語尾にハートマークをつけたような私の言葉。

ラブラブカップルを演出しようと“ダーリン”と言ってみたが、失敗したようだった。


一瞬で凍った空気。

冷たい沈黙が流れる。


女の子たちを見れば、『なにこの女。キモイ』と、顔に書かれている。

涼なんて、すごく冷めた目で見てくる。


ひどい。

私は、恥ずかしさと沈黙に耐えられなくなって、涼の手を握りその場を離れた。

涼の手を握り、引っ張るように海の家へ向かう。


海の家へ着くと、神崎くんと千秋くんが椅子に座っていた。

2人も私たちに気がついたようで、手を振ってくれる。


手を振り返し、2人のもとへ行こうとすると。
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