俺から逃げられると思うなよ
涼と初めて話したとき、涼は『女が嫌い』と、言っていた。

そんな涼が、朝比奈さんにしつこく迫るだろうか。

いくら朝比奈さんが美人とはいえ……。



「涼……っ、離して」



そういうと、パッと離れる腕。

今日は心臓に悪い日だ。

ドキドキを隠せないままでいると、私たちのもとへ神崎くんと千秋くんが走り寄ってくる。



「涼っ! 僕の茜ちゃんに何してるの!」

「俺も抱きしめる」



いやいやいや。

私は誰のものでもないし、ここで抱きしめられたら恥ずかしいんですけど。

あ、今、涼に抱きしめられたばかりだったんだ。


でも!

不意にやられるのと、宣言してやられるのとでは訳が違う!


話を変えなきゃ。
< 179 / 276 >

この作品をシェア

pagetop