俺から逃げられると思うなよ
だけど、私の気持ちが分かったのか、朝比奈さんは笑顔を崩して私を睨む。



「勝手にすれば!? あんたなんかっ……」



朝比奈さんは私を思い切り睨んでから、足早に私の横を通り過ぎて行った。


一気に静かになる公園前。

足が震えているのが分かる。

西高生徒に喧嘩売ってしまった。

そう、気付いたのは朝比奈さんが過ぎ去ってからだった。


だけど、今は。

私の問題より、涼を傷つける朝比奈さんが許せなかったんだ。



「……穂村」



涼が小さく私の名前をつぶやく。



「ちょっと、話していかね?」



その言葉に振り向けば、涼は公園の中に入っていく。

私も涼の後ろをついていく。

涼がベンチに座ったので、私も隣に座る。


しばらく沈黙が続く。

先に沈黙を破ったのは涼だった。
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