俺から逃げられると思うなよ
「ただいま」

「おかえりーっ」



涼におんぶをしてもらったまま、家に入る。

私たちの帰りを待ってくれていたのか、千秋くんが出迎えてくれる。

千秋くんが、私たちを見た瞬間、大声で叫んだ。



「涼っ! 茜ちゃんになにしたのっ!」

「はあ?」

「茜ちゃんも! 涼にくっつきすぎ!」

「え?」



千秋くんが騒いでいると、リビングから神崎くんまで出てきた。



「なにしてるの?」



神崎くんは目を細めてから私に近づいてくる。

私の背後に回ったかと思えば、涼の背中から無理やり引きずりおろされる。


怖い怖いって!

無理やりおろされるのは怖いよ!?


そんなことはおかまいなしに、おろそうとする神崎くん。

涼は私の足をしっかり抱えたままなので、変な体勢になっている。


本当に怖いから!


私は3人を説得して、自分で涼の背中からおりた。

3人のおかげで、怖くて歩けなかった足も元気を取り戻したようだった。
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