俺から逃げられると思うなよ
「お前の誕生日は、まだ穂村と出会ってなかったときだろ」



うん。

そうなんだよね。


って、涼が私の気持ちを代弁してくれたけど!

神崎くん、さらに落ち込んでいるよ!?



「神崎くん……? 来年の誕生日は、一緒にお祝いしようね?」



精一杯のフォローの言葉だった。

神崎くんはパッと顔を上げたと思ったら、私に思い切り抱きついてくる。



「茜」

「は、はい……?」

「来年は2人でお祝いだから」



2人で?

みんなでじゃなくて?


そう、突っ込みたかったけど、神崎くんが強く抱きしめてくるので声が出せない。

それを了承とえたのか、喜んでいる様子の神崎くん。

千秋くんは神崎くんの足を蹴飛ばし始めたし。

それでも私から離れない神崎くんは、なんなんだ。


抱きしめられてドキドキするどころか、強く抱きしめられすぎて体がバキバキ鳴っているよ。

切実に離れて欲しい。
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