俺から逃げられると思うなよ
「……茜は、俺があの子と連絡先交換しても良かったの?」



質問を質問で返される。

その質問は、私の心を見透かしたような質問だった。



「……ちょっと、嫌かも」



私が素直に答えると。



「茜が嫌だと思うことはしたくない」



神崎くんが笑顔を見せてくれる。

その笑顔と言葉に、心臓がきゅっとなる。

だんだんと熱くなってくる顔。

私は恥ずかしくなってきて、話をそらす。



「そういえば、神崎くんがさっき、言いかけていた話の続き……」

「父さんのこと?」

「うん」



神崎くんは少し考えるように黙る。

そして口をゆっくり開く。



「父さんに呼び出されたのは、ルームシェアはやめろって」

「え……」

「そう言われた」



あの家に住むのをやめるようにお父さんに言われたってこと?
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