俺から逃げられると思うなよ
そして、しばらくしてから。


パンッ!


千秋くんが涼の背後からクラッカーを鳴らす。

不意打ちでクラッカーを鳴らされた涼は、驚いた顔をして振り返る。

千秋くんはニコッと笑っている。



「どう? 驚いた?」



千秋くんはニコニコと聞いているけれど、背後から急にクラッカーを鳴らされたら、誰でも驚くと思う。

私も驚いた。

タイミングをずらして、クラッカーを鳴らすなんて計画になかったよ?



「びびった」



涼は心底驚いたような声で、千秋くんに言葉を返す。

千秋くんは笑いながら、『サプライズ成功』なんて喜んでいる。


……それは、サプライズというより、ただ驚かせたかっただけじゃないのかな。



「まぁまぁ! 誕生日おめでとー!」



千秋くんは楽しそうに、涼の誕生日を祝っている。
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