俺から逃げられると思うなよ
第6章

席替えをしました。

涼の誕生日パーティーが終わって数日。

夏休みも終わり、2学期が始まる。

夏休みが始まる前と何ひとつ変わることのない日常。

そう思っていたのだけれど……。



「穂村さん!」

「佐藤くん、おはよう」



夏休み前の期末テストで、赤点を取った男子こと、佐藤 祐介くんが頻繁に話しかけに来てくれるようになりました。

お友達……、と呼んでもいいのか分からないけれど、それでもわざわざ私の席まで来てくれる。



「今日、席替えだよね!」



佐藤くんが、楽しそうに話をしてくれる。

その爽やかな笑顔につられて、私も自然と笑顔になる。



「そっか。席替えかぁ」



そういえば、今日のホームルームの時間で席替えをすると先生が言っていた気がする。

席にこだわりはないので『どこでもいいやー』と、聞き流していたけれど。


それは私だけのようで。

教室を見渡せば、女子がそわそわしている気がする。
< 213 / 276 >

この作品をシェア

pagetop