俺から逃げられると思うなよ
そしてその視線の先には、神崎くんや涼がいる。

佐藤くんも視線を浴びているような気がする。


その本人らは、なにを考えているのか。


神崎くんは机に頬杖をついてうたた寝をしているし、涼なんて完全に夢の中だろう。

佐藤くんは……。

私とおしゃべり中?



「俺、穂村さんと隣の席がいいな!」

「そうだねー。って、え?」

「穂村さんの隣の席は楽しそう!」



目を輝かせて私に視線を送ってくれる佐藤くん。


その瞬間。

隣の席から大きな物音がした。

横を見れば神崎くんが、私たちを睨んでいた。


物音は椅子が倒れる音だった。
< 214 / 276 >

この作品をシェア

pagetop