俺から逃げられると思うなよ
「茜は俺のもの……。だよね?」



神崎くんが私に視線を向ける。


いやいやいや。

疑問系で聞かれても困るんですけど。


私は誰のものでもないし、ましてや、クラスメイトたちが想像するような関係でもない。


だけど、神崎くんの言葉に反論したらどうなるか分からない。



私が困っていると。



「穂村は、俺のだ」



頭上から黒い影が落ちたかと思い、上を見上げると涼が立っていた。



「は?」



神崎くんが涼の言葉に反応する。

佐藤くんは、涼の登場に驚いているし。

私も驚いている。

涼、寝ていたんじゃないの?



「穂村は俺がもらう」



涼まで何を言っているの。


男子3人に囲まれている私はなんなんですか。

涼の登場のおかげで、女子からの視線が鋭くなるし。

なんで私が睨まれなきゃいけないの。



「穂村さん、モテモテだねぇ」



佐藤くんがニコニコと話しかけてくれるけど、今はその笑顔はいりません。

この状況を何とかしてくれると助かります。


そんな思いは届かず。



「俺も負けてられないや」



なんて、誤解されるようなことを言い出す。
私はため息をついた。


こんなんで席替えが無事に終わるんでしょうか。
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