俺から逃げられると思うなよ
ホームルームが始まる。

教壇の上に置かれたくじ引きの箱の中から、ひとりひとり、くじを引いていく。

クラスメイトがそわそわしているのが分かる。


そりゃそうか。

みんな仲の良い人と隣の席になれたら嬉しいもんね。


順番にくじを引いていくクラスメイト。

『何番だったー?』

と、声があちこちで聞こえる。


続いて私の番がやってくる。



どこの席でもいいんだけどなぁ。



私が席を立って、教壇の前に行こうとすると、神崎くんに呼び止められた。



「ん?」



足を止めて神崎くんに向かって首をかしげる。



「俺の隣の番号、引いてきてね」



なんて無茶なことを言うから。



「それは難しいかな」



なんて苦笑いで返す。


拗ねたような神崎くんの表情に少し罪悪感を覚えながら、私はくじを引いた。

紙を開いて、黒板に書かれた座席表と照らし合わせる。


えっと。

……廊下側の1番後ろの席だ。


確認も終わったので、その紙を持ったまま自分の席に戻る。
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