俺から逃げられると思うなよ
「何番だった?」



神崎くんが聞いてくる。

席替えなんて、神崎くんは興味なさそうなタイプなのに。

意外だなぁ、と思いながら答える。



「6番だよ」

「……廊下側の1番後ろ……」

「うん。神崎くんは?」

「窓際の1番前」



うーん。

対角線上に離れていますね。

見事に、端と端だ。


神崎くんは机に突っ伏している。

まあ、私も神崎くんの隣の席で今まで過ごしていたからな。

神崎くんと席が離れるのは寂しいかも。

この席、なんだかんだ楽しかったからな。


今まであったことを思い出していると、爽やかな声で名前を呼ばれる。



「穂村さんっ。席、どこだった?」



佐藤くんの登場に、神崎くんが顔を上げる。

そんな神崎くんを気にしない佐藤くんもなかなかの人間だ。
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