俺から逃げられると思うなよ
「神崎くん!」



熱風が体に吹きつける。


名前を呼んでも返事がない。

屋上を見渡したが、神崎くんの姿も見えない。


ここじゃなかったか……。


ふと、神崎くんが話してくれたお父さんのことを思い出す。


最近の神崎くんの様子、おかしかった気がする。

感情的になったり、急に冷めた態度を取ったり。

ものすごく優しかったり、気遣ってくれたり。


それが、神崎くんのありのままの姿だとしても、なにか引っかかるものがある。

お父さんの話を聞いてから、少し違和感を感じていたのは事実。



私は屋上を飛び出す。


もしかして、神崎くん、お父さんのところに行ったんじゃ……?


屋上から昇降口に向かって走り出す。

廊下は走っちゃいけないけど、今はそんなことを言っていられない。



昇降口について、神崎くんの下駄箱とを探す。


どこだ……?


汗だくになりながら、ようやく見つけた神崎くんの下駄箱。


恐る恐る、その扉を開けると。
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