俺から逃げられると思うなよ
「君とは初対面だから言っておくよ。あの家は、君たちの遊びのために貸しているのではない」



ゴクッと息を呑む。



「私の息子を見張るためのルームシェアだ」

「えっ……」



思わず声が漏れる。


神崎くんを見張るためのルームシェア?


どういうことか、理解が出来ない。


隣にいる涼と千秋くんを見れば、悲しげな顔をしている。

神崎くんは完全にうつむいてしまって、表情が読み取れない。



「それは、どういうことですか……?」



神崎社長に聞くと、返ってきたのは耳を疑うような言葉だった。



「息子は私の後継者だ。完璧でなければならない」



息が止まる。



「翠川くんと成瀬くんは、その見張り役に過ぎない」
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