俺から逃げられると思うなよ
隣に立っている涼と千秋くんに目を向ける。

涼はほっとしたのか、表情が柔らかかった。

千秋くんは目をうるうるさせていた。


やっぱり仲間っていいな。



「翠川くん、成瀬くん」



神崎くんのお父さんが2人の名前を呼び、歩み寄る。

そして、頭を下げた。



「息子の見張り役、と言ったことを申し訳なく思っている。すまなかった」



お父さんからの突然の謝罪に、目を見開いている彼ら。

謝られるなんて思ってもみなかったんだろう。

涼と千秋くんは、あわててしまっている。


そんな2人に、言葉を続ける神崎くんのお父さん。



「君たちが、息子の大切な仲間でいてくれることを嬉しく思う」

「こちらこそ、です」



涼と千秋くんのアタフタしている姿がこの場の空気を和ませてくれる。


緊張がほぐれたのか、思わず笑ってしまう。

微笑ましいというか、良かったというか。


とりあえず安心した。

自然とみんなが笑顔になる。
< 236 / 276 >

この作品をシェア

pagetop