俺から逃げられると思うなよ
「ほ、穂村 茜、です……」

「もう知ってるーっ」



なんだ、こいつは。

私に自己紹介させたかったんじゃないのか。


それより。

まだ、理解できてないこの状態。

誰の家かも、どういう関係の3人かも分からない。


聞きづらいけど、ちゃんと聞こう。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、って言うものね!



「あの。ここは、誰のお宅でしょう?」



私が尋ねると。



「俺のだ」

「俺だよ」

「僕のだもんっ」



……ごめん。

余計分からなくなった。


しかも、3人でケンカが始まっているし。

この家は俺のだ! とか、聞こえるけど。

つまり、どういうことでしょう?


私がその場でぽかん、としていると隣に立っている神崎くんが教えてくれた。



「俺たち、ルームメイト」

「……はあ?」

「ルームシェアしてるの」



ルームシェアって、あれだよね?

友達同士とかが一緒に暮らす、ってことだよね?


つまり?

この3人は一緒に住んでいるってこと!?



私。

とんでもない人たちのお家に来てしまいました。
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