俺から逃げられると思うなよ
「ちょっと待ちなさいよ!」



朝比奈さんの声に、思わず足が止まる。



「なんで穂村さんなの!?」



大きな声が響く。



「忠告してあげる!」



それは近所迷惑、と言ってもいいほどの声で。



「こんな低レベルな子と一緒に居ると千秋たちの株が落ちるよ!?」



人を傷つける言葉を発する朝比奈さん。



「穂村さんなんか、千秋たちとはつり合わない!」

「……」

「千秋たちも、落ちぶれた!」



手が震える。

怖いんじゃない。

悔しさで溢れる。



「私のほうが、何倍も満足させられる!」



確かに、朝比奈さんは美人の部類に入る。

イケメンの部類に入る彼らの隣を歩いても、誰もが納得するかもしれない。


だけど。



「蓮くんも! 見る目なさすぎて笑える!」



彼らを傷つけるのは納得できない。
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