俺から逃げられると思うなよ
今日は1人で登校する。

彼らは、ギリギリまでゆっくり眠りたいらしい。


まあ、そうだよね。

昨日、神崎くんのお父さんと対面してきたから、気を張り詰めていたんだろう。



東高の校門が見える。

学校までの通学路。

当たり前の日常。


……そう思っていたのに。


今日は、いつもより、なんとなく周りが騒がしい。

なにか、イベントでもあるのかな?

と、のん気に考えつつ、東高の校門をくぐる。


やっぱり、騒がしく感じる。

それも、楽しい雰囲気ではなくて。


この空気……。

私、知っている。


東高の生徒の視線が私に集中している気がする。

刺さるような痛い視線。

辺りを見れば、見ず知らずの話したこともない生徒が私に視線を向けている。


な、なんなの……。

一瞬、嫌な予感が頭をよぎったが、無理やり振り払う。

『気のせいだ』と、自分に言い聞かせて、下駄箱で靴をはきかえる。


……履きかえようとしたのだけれど。
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