俺から逃げられると思うなよ
下駄箱を開けてみれば、上履きがない。


なんで!?


慌てて、あちこちを探すが、見当たらない。

なんで上履きがないの!?


上履きがあるとしたら。


最後に残った場所は……ゴミ箱。

下駄箱近くに設置されている、ゴミ箱のふたを、そっと開ける。


見つかって欲しい。

だけど、ゴミ箱の中にあるのは嫌だ……。


ゴミ箱の中を覗き込むと、そこにあったのは。



「私の上履き……」



私の上履きがゴミにまぎれて見つかった。

ゴミ箱に手を突っ込みたくはないけれど。

上履きを取るしかない。

私はそっと、ゴミ箱に手をかける。


その瞬間。



「ゴミがゴミを漁ってるーっ!」



甲高い女の子の声が聞こえる。

それと同時に、笑い声も。


上履きを抱えて振り向けば、知らない女子生徒が私を見て笑っている。

ひとしきり笑ったあと、その女子生徒たちは去っていった。


なんだったの……。


疑問と同時に、恐怖が私の脳裏をよぎる。


怖い。


素直にそう思った。


私は、震える足に力を込めて、笑い去っていた女子生徒を追いかけた。
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