俺から逃げられると思うなよ
「あのっ!」



私は叫びに近い声を出す。

振り返る女子生徒たち。



「なにーっ?」



バカにするように笑っている。



「なんで、こんな……っ!」



声が震える。


そんな私に、彼女たちは携帯をポケットから取り出した。

彼女たちの携帯に映し出されていたのは、私の……。


水着姿だった。


それは、ショッピングモールで朝比奈さんと会ったときに撮られた水着の写真。


絶句してしまった。

なんで、こんな写真が見ず知らずの人の携帯の画面に映し出されているの?

疑問しか浮かばない。


固まっている私に、女の子たちは言い放つ。



「こんな見苦しい水着で、神崎くんたちを誘惑できると思った?」

「……」

「図星なのーっ?」



何も言えなかった。

恐怖で口を開くことも出来ない。



「この写真、匿名で送られてきたんだよね」



匿名。

彼女たちからしたら匿名かもしれないけど。

送っているのは、朝比奈さんだ。

この写真は、朝比奈さんに撮られたものに間違いないから……。
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