俺から逃げられると思うなよ
私が立ちすくんでいると。


ドンッ!


後ろから突き飛ばされ、床に頭をぶつけるところだった。


ひざまずく私。

突き飛ばした人を確認しようと振り返れば……。


そこに立っていたのは、クラスメイトの佐藤くんだった。

なんで……。



「淫乱女」



そう、冷たく言い放たれる。

佐藤くんのこんな顔、見たことない……。



「神崎も落ちぶれたよな」



佐藤くんの言葉が刺さる。

神崎くんは関係ないのに……。


涙がこぼれないように、我慢することしか出来ない私。

床にひざまずいたままの私を、登校してきた生徒たちが面白そうに囲んでくる。



そこからは散々だった。

写真を撮られたり、罵声を浴びせられたり。
蹴られたりもした。

なにか硬いものが投げつけられたりもした。



「何も言わねぇの?」



佐藤くんが、私を見下ろしてくる。

その目は笑っていなくて。


怖かった。


佐藤くんは私の頭を手で床に押さえつけた。

土下座をしている格好の私。

ギャラリーは増え続ける一方だ。


誰か。

助けて……っ。



そう、願った瞬間。
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