俺から逃げられると思うなよ

彼らを守るために決断しました。

授業開始を知らせるチャイムが鳴った。

チャイムの音は聞こえたけれど、教室に行くことが出来ない私。


多分。

今の状況で教室に行っても、冷たい目で見られるだけだ。


なにをされるか分からない。


そんなリスクを抱えてまで、教室に行こうとは思えなかった。

フェンスに寄りかかったまま、私は涙を流した。

この学校にも、居たくない。

今すぐ、この場所から離れたい。


だけど。

帰る場所がない。


今の家に戻ったところを誰かに見られたら。

彼らと一緒に住んでいることが、学校中に知れ渡るだろう。

そうなったら、私だけじゃなく、彼らにも被害が及ぶかもしれない。

それは避けたい。


でも。

今日は、どこに帰ったらいいの……。

思い浮かぶのは、実家だった。

だけど、突然、実家に帰ったら、お母さんは驚くだろう。

そして心配するだろう。


沢山の心配をかけて、またお母さんの涙を見ることになるのかな。

そうなったら、嫌だ。


もう、私のことで、お母さんの涙を見たくない。
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