俺から逃げられると思うなよ
助けを求めたこともあった。

だけど、その言葉は誰にも届くことがなくて。


私の心は枯れていった。


食事ものどを通らず、お母さんの前では『ダイエット』と言って、誤魔化していた。

だから体重も減っていった。

体力もなくなり、エネルギーも湧かず、歩くことさえしんどかった。


……食べられない怖さを知っているから。

千秋くんには、ちゃんと食事を取って欲しかった。



「茜ちゃん……」



千秋くんが切なそうに目を伏せる。
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