俺から逃げられると思うなよ
久しぶりの実家。

あらかじめ、お母さんには連絡をしていたので、怪しまれることなく家に戻ることが出来た。



「おかえりなさい」



玄関で出迎えてくれたお母さんは、私を抱きしめてくれる。

この温もりが、私の涙腺を緩ませる。


泣いちゃいけない。

そう思って、お母さんから離れる。



「今日のご飯は、カレーがいいな」



それだけ言って、自分の部屋へ向かう。


久しぶりの、自分の部屋。

家具の位置とかは、まったく変わっていなかった。


懐かしくなって、私はベッドにダイブした。

太陽の匂いがする。

きっと、お母さんが布団を干してくれていたんだろう。

そんな、些細なことでも涙が出てきそうだ。


気を引き締めなきゃ。


そう思いつつ、私はいつの間にか眠りについていた。
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