俺から逃げられると思うなよ
陰湿ないじめが続く毎日。

私も精神的にダメージを受け続けている。


そんな中、支えてくれるのは……。


楽しい思い出たちだ。


大丈夫。

私はまだ、やっていける。


そう思い続けながら、今日も1日が終わる。

下駄箱に靴があることを確認して、校舎を出る。

校門を出ようとした、そのとき。



「穂村さん」



声をかけられた。

振り向けば、朝比奈さんが不敵な笑みを浮かべて立っていた。



「どうー? いじめられて嬉しい?」



挑発するような言葉を発する朝比奈さん。

でも、私には反論するエネルギーなんて残っていないんだ。


何も答えられないでいると、



「無視すんなよ」



朝比奈さんの声色が変わる。



「あんたが潰れていくのを楽しみにしていたのに」

「……」

「早く消えろよ」



美少女が発する言葉とは思えない。

容姿とは反対に、歪んでいる言葉。


私が黙っていると、朝比奈さんの言動はエスカレートしていった。

朝比奈さんは、私のネクタイを掴み、引っ張り上げる。


呼吸が苦しい……。


思わず顔を歪めてしまう。
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