俺から逃げられると思うなよ
新しい家の前に戻ってきた。

今日から、私の居住地だ。



「なに、ぼさっとしてんだ。入るぞ」



涼に言われて私は家の中に入る。


千秋くんに、家の中を案内してもらう。



「1階は、お風呂とかキッチンとか。共用の生活スペースだよ」

「へぇ」



とてもきれい、とは言いがたいけれど、とても汚いわけでもないから安心した。

誰が掃除しているのか不思議なくらい。

3人の顔を思い浮かべたけど、家事を出来るような人が思い当たらない。



「聞いてるっ!?」



千秋くんに呼ばれて、我に返る。



「え、あ。ごめん」

「次、2階ね」



階段をのぼる千秋くんの後ろをついていく。

私と必要最低限の話しかしない千秋くん。

これからの生活が少し不安。

このメンバーでうまくやっていけるのかなぁ。


階段をのぼりきったところで、千秋くんが足を止める。
< 34 / 276 >

この作品をシェア

pagetop