俺から逃げられると思うなよ
私がキッチンへ向かおうとすると。



「この家は、穂村の家でもあるからな!」



だから、普通に使え。

そう言ってくれる涼は、優しいと思った。


嬉しくなった私は、



「腕振るいますね!」



なんて、冷蔵庫の扉を開けた。


……。

………。

な、何も入っていないんですけど。


入っているのは、牛乳とオレンジジュースと、リンゴジュースと……、少しだけ残っている調味料。


食べ物がないんですけど!?


私は驚きを隠せないまま、野菜室を開ける。

案の定、野菜が1つも入っていない。

冷凍庫は……氷しかなかった。

多分この氷は、ジュースを冷やすためだろう。


なにを食べて生活していたんだ。

不安と心配しかない。

私はリビングへ戻り、ソファでくつろぐ3人に声を上げた。



「今までどんな食生活をしていたか分からないけど! 今日からちゃんと食べてよね!?」



無言の3人。

なんか喋ってよ。
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