俺から逃げられると思うなよ
「冷蔵庫の中身は昨日で終わらした」



涼……。

嘘つくな。

目が泳いでいるよ。



「お昼ご飯、沢山食べたよっ」



千秋くん。

3食バランス良く、って言葉は知っているかな?



「茜のご飯しか食べられない……」



神崎くん。

出会ったのは今日でしょ。

それまでなにを食べて生きていたんだ。


……とりあえず。

このままだと、私も晩ご飯を食べることが出来ないので。




「スーパー行ってくる」



24時間営業のスーパーが近所にあったはず。

外も暗くなってきたから、3人に買い物を任せたかったけど、任せたら冷凍食品しか買ってこないのは目に見えていたので、自分で買いに行くことにした。


自分の部屋から上着と財布を持ってくる。

玄関で靴を履き替えていると。



「仕方ねぇから、俺も行ってやる」

「えっ」

「なんだよ、嫌ならひとりで行け」

「う、うう嬉しいです!」



涼が睨んできたよ。

もう、怖いとかは思わないけど、びっくりした。

これって、涼なりの優しさなんだよね?

外、暗いのが分かっているから、ついてきてくれるんだよね?

さっきまで楽しそうにやっていたゲームもやめて一緒に買い物してくれる……。


嬉しさでいっぱいになった。
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