俺から逃げられると思うなよ
買い物を終わらせて、家に戻る。

私はキッチンで鼻歌を歌いながら、野菜を切っている。



「ふんふんふーん」



リビングから視線が集まっているような気もするけれど、気にしない気にしない。

きっと私じゃなくて、今日の晩ご飯が気になっているんだよねっ。


野菜を切り終わったので、お鍋を探す。



「お鍋っと。……えっ!? もしかしてお鍋ないの!?」



どこを探しても見当たることのないお鍋。

あるのは、シチューとかに使う調理用鍋だけ。

私が探しているのは、土鍋とかなんだけど。


リビングに居る、男たちに声をかける。



「土鍋とかないのーっ?」


顔を見合わせて黙る3人。



「土鍋、ってなに?」

「土で作られた鍋のことじゃね?」

「縄文時代に作られた鍋……ってこと!?」



そして、3人揃えて口を開く。



「そんな鍋はない」



……バカなの?

バカだよね?

今、1人鍋とかブームじゃん。

その大きい鍋の話をしているんだけど。


土鍋がいつの時代からあったのか、と言われたら分からないけど。


会話の内容がバカすぎる。
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