俺から逃げられると思うなよ
「辛くないなら、食べてあげてもいいよっ」



千秋くんは私の横を通り、椅子に座る。

一瞬ためらった様子だけど、器に具材をよそう。


スプーンで一口、食べると。

あっという間に、器を空にする。

2杯目も、あっという間だ。


あまりの変化に驚きすぎて、ぽかーんと立ちっぱなしの私に千秋くんは。



「食べないなら、僕が全部食べちゃうからねっ」



なんて、嬉しいことを言ってくれる。



「私も食べる!」



4人でお鍋を囲む。


食べているときに気がついた。

千秋くんが、チーズを多く取っていることに。


ひとつ、学んだ。

千秋くんは、辛いものが嫌い。

チーズは大好物。


こうやって、3人のことをもっと知ることが出来たらいいな、なんて思った私。

そんな自分にびっくりした。



「あっ、私の分のチーズがないっ!」



千秋くんが笑う。

つられて、みんなも笑った。


みんなで食べるご飯は、やっぱり美味しかった。
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