俺から逃げられると思うなよ
時計を見れば6時半。



「おはよう」



私は千秋くんに挨拶を返す。

千秋くんは、そのまま私の横を通り、冷蔵庫を開ける。


牛乳を飲み始める。

ちょっと。

そんなに飲んで、朝ご飯食べられるの?


私は思わず、声をかける。



「千秋くん、朝ご飯、あるからね?」

「んー。いらない」



い、いらない、って……。

作ってあるんだけど。

ほとんど、お弁当と同じだけど。



「牛乳だけじゃ、体に悪いよ」



朝ご飯、食べて。

その言葉は、言えなかった。



「うるさいなっ。あんたに関係ないじゃん!」



私を睨む千秋くんの目は鋭かった。

一瞬怯む私だけど。



「関係あるよ! 一緒に住んでいる人が倒れられたら嫌だもん!」

「そんな弱くないからっ」

「牛乳だけじゃ、栄養取れないよ!?」



私を再び思い切り睨んでからキッチンを出て行く千秋くん。

その後を追うけれど。



「この家に居るのは勝手だけど、僕に干渉しないで」
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