俺から逃げられると思うなよ
「食べる」



その言葉に、うつむいていた顔を上げる。



「なに暗い顔してんだよ」



涼が笑う。

そんな涼の笑顔に、涙がこぼれそうで、慌てて後ろを向く。



「い、今! ご飯、盛るからね」

「おう」



椅子に座る音がする。

私は、お茶碗にご飯を盛っていると。



「おはよう」



後ろから神崎くんの声が聞こえて驚いた。

足音もなく、急にだよ!?

びっくりして、お茶碗を放り投げてしまいそうになった。



「お、おはよう……」

「朝ご飯? 俺にも」



『俺にも』ってことは、朝ご飯用意して、ってことだよね?


私は、神崎くんのお茶碗にもご飯を盛る。

もちろん、自分の分も用意して、椅子に座る。


3人での朝ご飯。

いただきます、をしてからご飯を食べるけど。

千秋くんがいない朝ご飯がなんだか切ない。
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