俺から逃げられると思うなよ
食器を洗い終えた私は、炊飯器に残っていたご飯を握る。

おにぎりにして、千秋くんに渡そう。

きっと、朝ご飯食べてないから、お腹空くよね……。

育ち盛りの高校生なんだから、食べてもらわないと。


ふりかけを振って、海苔を巻いて。

おにぎりをラップに包む。


鞄の中には、私と千秋くんの分のお弁当を入れた。

制服にも着替え、学校へ行く準備は出来た。


既に学校へ向かった、神崎くんと涼。

私は最後、戸締りをして家を出る。

新しい家の、新しい鍵をしっかり鞄の中にしまって。
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