俺から逃げられると思うなよ
「千秋くんっ」



裏庭の日当たりのいい木陰で、寝転がっている千秋くんを見つけた。

千秋くんのもとに駆け寄る。



「千秋くん……?」



寝ているのかな?

声をかけても、目をつぶったまま返ってこない返事。

頭のそばには、自販機で買ったものだろう。

牛乳パックが置かれていた。


この子は、どのくらい牛乳を飲めば気が済むんだろう。


私はため息をついて、千秋くんの横に寝転がる。

裏庭って、日当たりがいいんだなぁ。

しかも、他の生徒が来ないから穴場って感じがする。

そんな千秋くんの穴場を見つけてしまった私は、ここにいていいものだろうか、とそわそわした。


起きる様子、ないからいいよね……?

私は抱えたままのおにぎりを、牛乳の横に置く。


食べて欲しい。

そう願うしかない。

起き上がって、教室戻ろうとしたけれど。
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